こんにちは。宮古島在住ライターのOCCOです。
沖縄はじめ、宮古島は昔より神に祈りを捧げ、五穀豊穣、子孫繁栄を願う祭祀行事が季節ごと行われ、今でもその風習は大事に受け継がれております。
今日は宮古島の離島・来間島における祭祀行事の一つ「ヤーマス」をご紹介致します。
ヤーマスとは?
ミャークフツ(宮古方言)で、
ヤー:家
マス:増す
という意味より、「ヤーマス」は家が増す→子孫繁栄という意味を持つ、来間島では一年で一番大きな祭祀行事です。
宮古島では、祭祀行事は旧暦で行われるのですが、「ヤーマス」は旧暦9月の甲午(きのえうま)の日に行われます。
ヤーマスの由来は?
来間島は昔、千人原と呼ばれるほど豊かに栄えていたのでしたが、いつの日からか人々は怠け、神に祈りを捧げる祭祀行事をしなくなったと言います。
そこで怒った神様は、島民を懲らしめるため、赤牛(神の化身)となって夜ごと島の人々をさらっていくようになりました。
その噂を聞きつけた川満に住む三兄弟は、来間島に渡り赤牛と戦い、見事この赤牛を取り押さえることが出来たのでした。
しかし、取り押さえた赤牛よりなぜ人をさらっていったかという理由を聞き…、
三兄弟は島の始祖となり、これからまた島民達と協力して祭祀行事を復活させることを赤牛に約束し、神に許しを請うのでした。
ヤーマスはブナカと呼ばれる祭祀集団が中心となり、三兄弟のヤームトゥ(本家)で行われます。
三兄弟の長男家を「スムリャーブナカ」、次男家を「ウプヤーブナカ」、三男家を「ヤーマッシャーブナカ」と呼び、島民はこの三つのブナカの血族として、それぞれどこかのブナカに必ず属しております。
※現在来間島は内地からの移住者も多く、移住者は大家さんのブナカに属するのが通例です。
神酒ミキとサラピャース
ヤーマスは二日間に渡って行われるのですが、一日目は各ブナカで「マスモリ(マスムイ)」と呼ばれるこの一年の間に島で生まれた子のお祝いと、「マスピア(マスピヤ)」と呼ばれるその年に満20歳になる成人男性をお祝いする行事が行われるます。
各ブナカのヤームトゥに集まった島民は輪になって座り、祈願主(長老)が祈願詞(ニーリー)を唱えながら、島民に神酒である「ミキ」を振る舞ってまわります。これを「皿囃子(サラピャース)」と呼びます。
このミキは、うるち米や麦に砂糖を加え、煮詰めて発酵させたもので、「ぽうちゃ」と呼ばれる祭祀行事の料理当番が作ることになっております。
雨乞い座
ヤーマスの二日目は、午前はまた各ブナカでサラピャースを行い、午後は各ブナカで島内を踊り練り歩き、その後は、来間島の中心である雨乞い座の広場に集合し、男性による伝統的な踊り「棒振り(棒踊り)」と、女性による踊り、また来間島郷友会により余興が行われます。
そして最後は全員で豊年を祈願しクイチャー(雨乞いの踊り)をして、祭はフィナーレを迎えます。
最後に
ヤーマスは来間島に伝承される大切な祭祀行事の一つです。
過疎化が進み、また2020年はコロナの影響もあり縮小され行われましたが、絶やすことなくこれからも執り行われることと、島の発展を願うばかりです